2012-01-05

ラブレター(1)

なぜこの子は何年たっても、ことばひとつ覚えられないのか、きみの教育がなってないせいじゃないか。ぼくは仕事で手一杯だし、疲れてるんだ。ぜんぶ、子育てはきみに任せている。
ああ、なんなんだろうねえ、なんで好きになっちゃったんだろうねえ。
男と女ってよくわかんねえよなあ。
そもそもさあ、きみ、なんで俺が好きなの?

どうみても挫折者、どうみても敗北者だろ。
社会の底辺、ドブの底に沈んだ腐った野菜だろ。
たまたま水面に星が映っているからって、腐ってることには何ら変わりがないんだよ。


もの書きに幻想抱きすぎじゃないのかとおもうわけ。
作家なんて、だいたいろくでもないこくつぶしばっかじゃないか。
口ばっかり達者で何もしない連中ばっかりだろ。
親の資産や遺産で食ってる怠け者ばっかりじゃん、それは知ってるだろ。

まあ、それでもってんなら、言うけどさ。

だいたい子供が知的障害者とか、再婚相手として最悪じゃないの。
どうすんの、また息子がそうなったら。
どうすんの、また娘がそうなったら。
もう、この子は五歳だ。どうして、この子はダメなんだ。どうして、この子は普通じゃないんだ。きみならわかるだろう、母親なんだから。どうしてこの子はこうなった?
たいへんなんだよ、神様とかいたら全身やつざきにしてやりたくなるよ。
子供をぶっころして自分も死ぬとか言いたくなるんだよ。
実際にやりたくなるよ、そういうもんなんだよ。

まあ、それでもってんなら、さらに言うけどさ。

だいたいきみ、俺がどういう人間かよく知らないんじゃないの。
弱いものに暴力を振るえるやつなんだよ、男ってのはそうなんだよ。
カネがあって権力があったら暴力を振るうことが楽しくなるんだよ。

「自分は女性に暴力をふるわない」なんてスカしたこと言ってる男のにやけ面を見ろよ。
笑いを噛み殺したスーツ野郎どもの顔を見ろよ、影で女を殴るのが好きなんだよ。
強姦しながらげらげら笑えるんだよ、男ってのはそういう生き物なんだよ。
俺だってそういう生き物なんだよ。

前科だってあるし、サツにだって呼び出しされてるんだよ。
カミさんと子供には手をあげなかったけど、暴力ってのは何も殴るだけじゃないんだよ。
態度で、ことばで、生活で、ありとあらゆるところで暴力をふるえるもんなんだよ。

反省しているように見えたって、そんなもんポーズに過ぎないんだよ。
同じことをやってるんだよ、これからも同じことしかできないんだよ。
ぼくは、家に帰ってきて、夜はこの子と喋って、遊んだりしたかったんだ。一緒に勉強したりしたかったんだ。どうして、どうしてなんだ、きみが悪いんだ、お前が悪いんだ!