2014-01-19

七億の孤独な夜

まとめるとお金になります。ちゃりんちゃりんと小銭が入ります。まとめるだけでお金が入ります。PCに虫のようにへばりついて人の悪口をまとめます。PCの前だけに座っているだけでぶくぶくと太れます。なんと自慰もできます。PCは魔法の箱です。PCですべてが手に入ります。PCは窓です。このネットに閉じ込められた私たちのゆいいつの窓です。窓のあちら側にうつくしい日本が広がっています。うつくしい国土が広がっています。みんな万歳が大好きです。みんな天皇陛下が大好きです。PCのあちら側には夢があります希望があります愛があります。プラスチック製の愛が100円で売っています。コンビニにいく必要すらありませんワンクリックで自宅になんと届いてしまいます。PCとドアの前を行ったりきたりするだけで人生を楽しく過ごせます。ああなんといううつくしい国!

いつでも「悪い人」を探しています。落ち度があるひとを探しています。失敗したひとを探しています。痛いひとを探しています。舌なめずりしながら探しています。ああ今日もお金をもって美人と食事している写真ばかりアップロードしている経営者がついうっかり本音をはいてしまいます。さてその本音はなんでしょうか。さてそのこころはどのようなものでしょうか。ああ決まっていますその本音は「低所得者乙」です。モテないやつ乙です。かわいそうな連中乙です。俺は成功者だ俺はうまくやっている俺はモテる俺は頭がいい俺は勝ち組だという本音がついぽろっと口から出てしまいます。さあたいへんですすばらしいネットの皆様がすぐにわらわらっと虫のように湧いてきます。さあ叩かなければいけません。「みんな」がそうしているのだからたいへんです。今日もしこしこ叩きます。ああなんというおもてなしの国!

ああしかし違うのです。経営者は私たちなのです。うじ虫は私たちなのです。どこにも居場所がない私たちなのです。ネットに貼りついてひとの悪口を楽しむしかない私たちの横顔そのものなのです。鏡に映った自分自身そのものなのです。なぜこうなってしまうのでしょう。どうして私たちはまとめるのをやめられないのでしょう。答は決まっています。答はわかっています。暴行したいのです。集団で群れて暴行したいのです。<女>を暴行したいのです。弱者を集団でなぶりたいのです。いつでもそうなのです。おさえられないのです。暴力がたのくしてたのしくて仕方ないのです。そうでなければ<友達>が見つからないのです。仲間がほしくてたまらないのに強姦もできないし元気もないし戦争もないからこうして自慰しながらまとめサイトを見るしかできないのです。ああそういえば戦争したがっている総理大臣がいました万歳で迎えねばなりません私たちから奪われた<友達>を得るために戦争が必要なのかもしれません。

七億の孤独な夜があります私たちのどこにも行けぬ夜がありました孤独きわまりない夜がありましたひとりぼっちで初音ミクの下着を眺めながら自慰をするしかない夜がありました友達がおらず会社では本音を言うことが許されずいつもペコペコして謝ってこびて妥協して誰も愛することができずに今日もひとりでネットをみて今日もひとりでTwitterをみて頭がいいひとのフリがなによりも大切でだってこんなに自分が苦しいのに誰もわかってくれないんだからどうしようもないのです今日も明日も明後日も何もできずにこうして人生が過ぎていく誰もわかってくれない誰も理解してくれないセブンハンドレッドミリオンの孤独な夜がいつまでもそこに広がっていくだけなのです、うまくやっている連中が許せないのです血を吐きながらうらやましくてうらやましくてうらやましくて仕方がないのです許せないのです孤独なのですひとりぼっちなのです。

ああだめですもっと正直に語らねばなりませんカネではないのですカネではないのです断じてカネがほしいのではないのですまとめサイト管理人がひとの悪口をまとめてまとめて今日も明日も明後日もまとめてそれで一儲けしてうまいものを食っているその現実がうらやましいのではないのです断じてうらやましくなどないのです否うらやましいのですもちろんうらやましいのですとてもとってもうらやましいのですしかしカネでは孤独は癒せないのですこの死に至る病をどうにもできないのですしかも女がいてもダメなのです結婚していてもダメなのです子供がいて二回も結婚してそれでもなおどうしようもないほどどうしようもなく孤独なのですこの世のどこにも救いなどないのですひたすらひとの悪口を書いて叩いて自慰してそれしかないのです輪姦したいのに強姦したいのに暴力が許されないからです鬱屈しているのです溜まっているのです射精して一瞬でもいいから人間に戻りたいのですああしかしそれは許されないのです断じて許されないのです。

暴力をふるうぐらいなら自殺すべきなのですああでも死ぬのは怖い死ぬのが怖い恐ろしいまだ死にたくないだから今日も知ったかぶりして明日も頭がいいフリをして明後日もいいひとのフリをしなければならないのです彼女ができてもダメなのです結婚してもダメなのですあきらめるのですなんの救いも許しも何一つない生き地獄に私たちは生かされているのです高校生とセックスしても大学生とセックスしても人妻とセックスしてもダメなのですそれは生理的な快楽にすぎずこころの飢えは欠乏はこの欲望はけしてけしてけして満たされることはないのですなぜあきらめないのかなぜあきらめないのですかあきらめるのですあきらめて死んだほうがいいのですひとを傷つけるぐらいなら首をつっていますぐ死んだほうがいいのですまとめサイトを作るぐらいなら死んだほうがいいのですまだ死んだほうがマシなのですわかったような口をきくためだけにネットをやるぐらいならいますぐ自殺したほうが世の中のためになるのです。

ああ七億回の孤独な夜死んでも生き返ってもつらい夜の数々に男になど生まれねばよかったこの国になど生まれねばよかったどうして私は日本人に生まれたのだろうどうして私は男に生まれたのだろうどうして私はネットがある時代に生まれたのだろう三重苦ですヘレン・ケラーですああむしろ女に生まれたかった男に踏みつけられ蹂躙され道具のように使われる女にさえうまれればまだ男を憎むという特権があったこんなにこんなに自分が嫌いで憎くてしかたがないのに死ぬのが怖いからこうして生にしがみついているのです虫けらとして生きているのですどうしたらこの飢えが満たされますかどうしたらこころにあいた穴を塞ぐことができますかその鎮痛剤の在処だけはわかっていますみんなと同じように他の弱者を叩けばいいみんなと同じようにスケープゴートを探して暴力をふるっていじめて泣かせてそれをみて嘲笑えばよいのですきわめて快楽ですきわめて楽しいです楽しくて楽しくて仕方ないです暴力こそが最高の麻薬暴力こそが最高の愉楽そんなことはわかっていますそんなことは知っています。

ああ今すぐ死ねばいいのにああ今すぐこの自分が死ねばいいのにわかっていますあなたたちの気持ちを私も知っていますいままさにそんな気持ちなのですあなたたちのどこにも居場所がない怒りかなしみつらさすべて私が知っています私が理解しています私がわかりますあなたたちが自分で気がついていないそのこころを私に教えてください私に与えてください私に石を投げつけてください私がそれに形をあたえます私がそれを言葉にしますあなたたちの七億の孤独を私が記してみせますだから私を叩くのですだから私を馬鹿にするのですだから私を嘲笑するのですあなたたちのひそかな苦しみは誰も知らない今後も知りえないそうなのです絶望しなさいあきらめなさいひとりぼっちで生きる覚悟をしなさいそして結婚してさらなる苦しみの海に沈みなさいしかし私は知っている私はあなたたちが自慰をしたあと一瞬だけ人間にかえるその横顔のさみしさを知っているなぜなら私は、私は……。

(2014年1月19日)