2017-06-24

月の影

土曜日になった。外はよく晴れている。今日は都心で会合があるのでその準備をしている。原稿を印刷したり本を準備したりといったことだ。けっきょくどんな分野の仕事も会社員の身振りでビジネスライクにやらざるを得ないが、情熱がある分野というものはある。とはいってもいくら情熱があっても読者がまったく付いてこない作風というものもあり、それはそれでわたしの努力の範疇を越えた宿命というか、より一般的な言い方をすれば「仕方がない」ことであって、それに関して文句をいうのは既存の読者に失礼だというようにも思っている。わたしは人間としてどうしようもなく駄目な存在で、正直なところはやくこの世界からいなくなりたいとしか思っていないのだが、文章だけはそれなりにまともなものを書いているので、これで社会に(間接的に)恩返ししてゆくのが筋なのだろうと思う。もっとも「読者」というのは届かない他者のことであって、湖面に映った月の影のようなもので、触れることはできないし、触れたしゅんかんに崩れてしまうものなのである。話せない、語れない、わかりあえない。読者のみなさん、こんにちは、根本正午です。