2017-07-13

趣味にすぎないもの

がんばっているのに報われない、と弱音を吐いているアーティストのSNSの書き込みを見かけた。もちろん努力は報われず、やってきたことはすべて徒労で、必死につくったものはあっという間に忘れ去られ、いっさい評価も受けることなく生きて、そして死ぬしかない。

やたら暑いのだが梅雨明けはまだらしい。仕事が終わると趣味の時間、つまりわたしにとっては料理の時間だ。鳥のもも肉の両面を焼いて皮をカリカリにしたものを、人参と玉葱とピーマンを強火で炒めたものと合わせ、甘酢タレをからめて食べる。食べ終えてからは明日のためにキッチンの掃除をする。毎日やらないと汚れがたまり衛生的によくない。衛生的によくないと気分が悪い。よって毎日やるほかなく毎日やるものだというように思う。

だいたい仕事と料理が終わると疲れ切っていて、机の前でブログの空っぽのエントリフォームを眺めてぐったりする。社会的要請があるわけではなく読者がたいしているわけでもないブログを書く理由は……なんだろう。正直にいうとよくわからない。よくわからないが続けてきた。そしてよくわからないまま続けるような気がする。いや、これはおそらく趣味なのだ。料理と同じように、ものすごく時間がかかり、ものすごく手間がかかり、人生の半分以上を無駄にしているかのように思える、趣味なのだ。そして趣味だから意味なく手が勝手に動いてしまう。そういうものなのである。

そして今日も完成したら某編集部に送る約束をしている趣味にすぎない原稿をやっている。なにもかもが趣味にすぎず、なにもかもが好きでやっているだけであって、それ以上のものでもそれ以下のものでもなく、うれしさもたのしさもなく、かなしさもむなしさもなく、ただ書くという行為を経由した世界のスケッチを一枚一枚積み重ねて、どこにもたどり着くことなく、どこかに目的地があるわけでもなく、机の前で白い枠組みを眺めている。

しょせん趣味なのだから、本をまとめてみようか、と思う。
そして手紙を書き始める。ーーしょせん、趣味にすぎないのですがーー。